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2018年11月21日 伸ばすメソッド

副作用を回避する 進路指導週間(11/12~11/17) その3

錠剤に隠された工夫を知る  ~溶解性について~
日本薬科大学 薬学部薬学科 臨床薬剤学分野   中島孝則 先生

11月15日(木)
この日は,薬学についての講座を覗いてみました。

錠剤は消化管を通って運ばれます。
消炎,解熱,鎮痛作用のある「アスピリン」も同じです。
アスピリンは小腸で吸収されて効果を発揮しますが,胃炎や胃潰瘍などの胃障害を起こすことがあります。

これは,アスピリンが胃粘膜を保護する粘液の分泌を抑制するからだと言われています。
そこでこの副作用を回避するために,胃液の中でアスピリンがはたらかないようにする工夫が行われています。

このことを簡単な実験で説明し確認する授業が行われました。

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使った錠剤はバイアスピリン錠。
この錠剤を胃液で溶解させないようにする工夫は錠剤に施されている
フィルムコーティングでした。
腸溶性フィルムコーティングというのだそうです。
胃液に見立てた酸性の溶液の中では,確かに溶解しませんでした。
しかし,腸液のような中性の溶液中では溶解するように工夫がされているのです。

実験は50㎖の遠心管の中に錠剤を入れ,転倒混和していきます。
反応が見られるまで数十分。
この時間を使ってさらに説明が続きます。
その間生徒はずっと遠心管を振り続けます。

この授業では,中学生から高校生までの生徒が参加しました。
こんなに学年の幅が大きい集団への授業は大変だろうと思っていました。
ですが,授業を見学すると集中力が途切れない工夫が。

先生がレクチャーをするときも,生徒は遠心管を上下にひっくりかえすことをくり返します。
これを交代で行っていくのです。

どんな講座でも,座学のみで受けるのはそうとうな集中力が必要です。
元々そのテーマに関して知的好奇心が旺盛であれば集中力を持続することは困難ではありません,
ですが,そのためにはある程度の知識も必要です。

初めて接するテーマについては,レクチャーのみで終わらせない仕掛けが必要なことがあります。
本来単純な作業である遠心管の転倒混和。
これを逆手にとってレクチャーへ引き込む。
生徒が下を向いている時間がほとんどない授業となりました。

木下 浩

この講座では、講義形式だけでなく、実験・実習ということも行われ、
体内の状況をシミュレーションした実験で、薬の変化を実際に目にして感動し、
興味・関心を持った生徒も多かったように思われました。
このような貴重な経験を活かして、今後、疑問に思ったこと・関心を持ったことを
探究してくれることを期待しています。

クミタ 理科男 (Tongari)