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2016年03月08日 伸ばすメソッド海外留学

2016年3月3日(木)

昨日3月2日は卒業式でした。卒業生が一人一人呼名されるたびに、この生徒たちが学期留学に参加した当時のことを思い出していました。式も終わり、一貫部校舎に戻ると、学期留学に参加した生徒がわざわざ中学職員室の私をたずねてくれて、学期留学に行って本当によかった、あのプログラムに参加したことで、自分の高校3年間の学習への意識が変わったと、涙ながらに語ってくれ、感謝の言葉を述べてくれました。
実際に彼らをお世話したのは、現地にいる学校関係者やホストファミリーですし、ご家庭の援助があってこそ実現できる留学であり、日本の担当者である私がしてきたことはたいしてないのですが、3年経ってもこうして生徒たちの中に残り続ける想いがあるんだなということをあらためて実感し、このプログラムが一人でも多くの生徒の成長の糧になるべく努力しなければいけないなと、身の引き締まる思いでした。

さて、前回に引き続き私が訪問した現地校の報告続編です。
まずはOnehunga High School(オネハンガ・ハイスクール)、2008年度(第6回)より生徒を派遣している学校です。オークランド国際空港からシティに向かう途中に位置する学校で、数年前までは到着すると空港からバスでシティに移動していましたので、全員がNZで初めて見る現地校でした。(現在は、空港に隣接するホテルでガイダンスとファミリーピックアップをしていますから、全員が目にする機会はありません)
遠くから見るとよくわかるのですが、斜面に学校を建てているので、校内での移動はほぼ階段を使用することになります。生徒たちがオークランドで生活し始めて、最初に漏らす感想のひとつが「なんでこんなに坂が多いんですか?」です。シティの目抜き通りであるクイーンストリートは川底にあたるところを通っていますので、オークランドは町の中心から出発すると必ず上り坂になります。建物も斜面を均すとかはほとんどせずに、そのままの地形で建てています。

01 Onehunga HS入口 すでに斜面です
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02階段
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03ここも階段
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04これも別の階段
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05でも高いところからの景色はいいです
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私がまわった現地校の中でも、この学校は敷地内の高低差では1・2を争うかもしれません。毎日授業を受けるだけで軽いエクササイズをしているようなものですね。理科棟につながる階段をよく見ていたら、1段1段に小石や貝殻などを埋め込んで元素記号が描かれていました。昇り降りは確かに大変ですけど、こういう遊び心があるのもいいですね。

06 下からU Be Bと登っていくと
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07理科棟に着きました
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08理科棟内の壁
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スポーツ施設をいくつか見学させてもらっていたら、体育館でバレーボールを練習していました。休みの日に練習しているなんて本当に珍しいことですから、随分熱心なクラブかなと思いましたが、実に楽しそうにみんなニコニコとプレイしているのが印象的でした。斜面にある学校とはいえ、グランドはしっかりと広さを確保しています。どこの学校に行っても感じることですが、総天然芝の広大なグランド、うらやましいですね。でも、維持費が結構かかるのでは?とつい余計な心配をしてしまいます。

09やはり校内に緑は豊富です
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10テニスコート
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11多目的に使えるコート
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12体育館ではバレーボールを練習していました
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13グランドその1
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14グランドその2
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15パノラマでつなげてみると
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インターナショナルご担当は台湾出身のChen先生で、7年前に初めて本校の生徒を派遣した時からずっと本校の生徒たちのお世話をしてくださっています。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

16 Chen先生と本校の生徒たち
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17マラエです
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18創立は1960年とのことです
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もう1校ご紹介します。Glenfield College(グレンフィールド・カレッジ)、この学校も2008年度から生徒を送っている学校です。この年はそれまで20~30人台だった参加者が一気に56名に増えた時で、多くの新規校を得た中の一つです。
この学校も住宅地に囲まれた高台にあり、Ohehunga HSほどではないですが、校内に坂道は多いです。この学校の第一印象は、校内の緑が多いということです。私が訪問した時は生徒が一人もいない時期だったので、特にそう感じたのかもしれませんが、静かな公園の中に学校があるといった雰囲気で、芝生でゆっくり読書でも楽しみたいなと思わせるような場所でした。

19Glenfield College
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20 緑の多さは群を抜いています
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21公園ではなく学校です
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22インターナショナルオフィス入口
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23 本校生徒たち
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24やはりNZと言えばラグビーです
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これまでにも数回訪問したことがあったのですが、今回は校舎内をゆっくりと見学させていただきました。
たまたま先生と生徒がいる部屋があって、覗いてみたらrobotics(ロボット工学)の部屋でした。大会に備えてロボットの調整などをおこなっているとのことで、興味があれば留学生でも気軽に見に来てもらっていいそうです。ナショナル・チャンピオンを狙える位置にいるそうで、国際大会に出場したいんだと抱負を語っていました。

25 Roboticsの部屋
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26様々な大会に挑戦しているようでした
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前回のレポートでも触れましたが、NZの中等教育学校の授業は卒業後の進路に直結していますので、特に芸術系や技術系の棟では、専門的な技術を身につけるための設備が整っています。
日本でいえば技術室にあたるのでしょうが、工業高校ですか?と思うような道具や機械が並び、自動車までありました。year 12から13にかけては、こういったより専門的な授業を選択できるようになり、それぞれの進路に向けて必要な技術を身につけていきます。「ボートも作るのよ」と言われて何のことだかわからないまま連れて行かれたのですが、本当にボートを作っていました。設計図はもちろんあるのですが、この授業ではすべて手作りでボートを作り上げるのだそうです。
公立学校ならではかもしれませんが、大学進学を目指す生徒も、卒業後にすぐに就職を目指す生徒もいるので、各自が自分の進路に必要な知識や技能を身につけるための授業を選択していきます。そのため日本の中3ぐらいの時には、自分の将来像についてかなり明確にイメージを持っている生徒が多いです。

27 hard materialの教室
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28趣味の部屋ではないですよ
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29教室です
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30もう整備工場です
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31ボート作りの手順一覧
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32オール手作りだそうです
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33完成品がいくつもありました
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34キャリアサポート棟。進路相談室ですね
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35奥に並んでいるのは大学の資料です
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36こちらは実技系職業の紹介
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NZの学校を訪問して感じることなのですが、生徒の作品をたくさん展示しています。美術教室にはデッサン画や水彩画がたくさん吊ってありましたし、PC教室にはCG作品が、調理室には生徒作品の写真が、音楽室には年間の優秀プレイヤーの写真が飾られ、大作になると、校舎の壁面やロビーなどにも飾られます。

37 artの部屋
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38 こちらもart
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39 PC教室にはCG作品が
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40調理室year 9なので中2ぐらいです
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41これも生徒作品
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42エントランスに飾られたこれも生徒作品だそうです
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NZではシーズンスポーツという考え方が一般的ですから、体育の授業も学期によって開講される種目が異なります。NZといえばラグビーですが、ラグビーは冬のスポーツなので真夏のこの時期は、どこの学校でもおこなっていません。サッカーもバスケットも1学期は開講しない学校が多いですね。日本のように1つのスポーツを1年中行うということはなく、夏は多くの人がクリケットに夢中です。

43体育館
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44シーズンスポーツなので、同じものを1年通してという考え方はありません
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45こちらは音楽室
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46楽器も豊富にありました
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47ポピュラー楽器も
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48ここでもレッスン室がありました
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最後はホールを見せていただきました。可動式の座席と本格的な音響・照明設備を備えており、演劇からダンスまでどんなシチュエーションにも対応できるスタジオといったところです。パフォーマーだけでなく、舞台演出や装置の操作も生徒がおこないます。プロ仕様の道具の使い方を在学中に身につけさせるという点では、他の実技系教室と同じ考え方なのだと思います。

49自慢のホールです
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50可動式の座席
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生徒の幅広い進路希望に合わせて、より専門的なスキルを身につけられるように準備されており、恵まれた環境だなと思う反面、生徒たちは日本と比べると、かなり早い年齢で自分の将来に向き合い、答えを出していかなければならないのだろうとも思いました。
NZに留学した本校の生徒たちは、しばしば同世代の他国の生徒が将来のビジョンをかなりはっきりと持っていることに驚き、焦ります。もちろん早ければいいというものではないでしょうが、そういうことが自分の人生について、これまでよりも一歩踏み込んで考えられるようになるきっかけになってくれるといいですね。善悪や優劣ではなく、違いを意識し、その違いについて考えることが自分の成長を後押しする、そんな体験をしてくれることを願っています。